京都大学名誉教授 髙田 光雄
(一般社団法人住まい評価推進機構代表理事、京都美術工芸大学 工芸学部長 建築学科長 教授)
21世紀は「住み継ぎ」の時代です。現在も、既存住宅を改修(リフォームやリノベーション)しながら自分にふさわしい住宅をつくりあげ、「住みごこち」や「住みごたえ」を高めていくという住まい方が徐々に浸透しています。
しかしながら、既存住宅の流通市場や改修市場はまだまだ整備が不十分で、さまざまなトラブルの懸念がなかなか拭えません。
当機構では、時を経るにしたがって住宅の価値が減少していく消却型住まいづくりではなく、「住み継ぐ」ことで住宅の価値が向上していく循環型住まいづくりを支援する活動を多面的に展開しています。
たとえば、住宅の性能や不具合を「見える化」するツール「住まいひょうか君®」の開発を行っています。
「住み継ぐ」という住まい方を実践しようとする住まい手は、このツールを使うことによって、既存住宅や改修する住宅の性能、改修の効果などを理解しやすくすることができます。
もちろん、「住まいひょうか君®」は、既存住宅だけでなく新築住宅の性能を検討するときにも有効です。
また、住宅評価を通じて住まい手を支援する活動や、住宅評価の専門家「住まいアセッサー」を育成する活動も行っています。「住み継ぐ」という住まい方を実践して「住みごこち」や「住みごたえ」を高めていくためには、住まい手が住宅に積極的に関わっていかなければなりません。
しかし、住まい手の知識や経験には限界があり、必要に応じて専門家の支援を得ることができる体制を整える必要があります。「住まいアセッサー」は、住宅の評価や維持管理についての専門知識や経験をもち、住まい手の活動を支援する専門家です。
当機構では、住宅性能評価ツール「住まいひょうか君®」の普及とさらなる改良や、住宅評価専門家「住まいアセッサー」の継続的育成を一層推進していきたいと考えています。
「住み継ぐ」という住まい方を実践しようとする住まい手やその支援者を志すみなさん、「住み継げる」住宅づくりを目指す事業者のみなさん、関西建築業協議会へ事業を移管した後も引き続きご参加をお待ちしています。